みなさんこんにちは! バンスです! 日頃から仕事で経理、人事や介護事業に携わっています。日頃の業務の中で疑問や問題に直面した時に深堀した内容についてみなさんに共有できればと思い発信しています。是非参考にして下さい!
「講習が終わって実習が始まったら、あとは現場に任せて終わり、でいいんだよね?」
「担当者が変わったくらいで、わざわざ届出なんて必要なの?」
「役員が変わったから登記はしたけど、技能実習のほうは特に何もしてないな……」
——実は、この3つとも「見落としがちな落とし穴」です。技能実習生の受入れは、配属して終わりではなく、日々の労務管理・帳簿の備え付け・計画変更の届出まで続く、継続的な実務です。
前回の【基本編】では、技能実習制度の理念と受入れ前の準備事項を整理しました。今回の【実務編】では、実習生が配属された後に受入企業が対応すべき法的義務、変更手続き、そして万が一の法令違反事例と特定技能への移行までを扱います。実習実施者の実務担当者はもちろん、経理・総務部門で役員変更登記等を担当する方にも関わる内容です。
受入企業の法的義務:労働条件・安全衛生・生活支援
実習生が配属された後、受入企業(実習実施者)が対応すべき事項は多岐にわたります。実習生は労働基準法上の「労働者」であり、日本人と同等以上の待遇が求められる点が前提です。
労働条件の適正な管理
- 労働条件の明示:雇用契約時に母国語併記の労働条件通知書を交付
- 賃金の適正な支払:最低賃金を守り、月1回以上、全額を直接支払う。監理費を賃金から控除することは禁止。寮費・食費を控除する場合は実費を超えない範囲で、事前に労使協定を締結
- 労働時間の把握:タイムカード等で始業・終業時刻を客観的に記録
法定労働時間は「1日8時間・週40時間」が原則で、時間外・休日労働には36協定の締結・届出が絶対条件です。休憩は労働時間が6時間超で45分以上、8時間超で60分以上、休日は週1回以上(または4週で4日以上)を確保します。
安全衛生管理と健康管理
- 健康診断:配属時の雇入れ時健康診断に加え、1年以内ごとに1回(深夜業従事者は6ヶ月に1回)の定期健康診断
- 安全衛生教育:実習生が理解できる言語や図解を用いて、機械の取扱方法や安全ルールを教育し、記録を残す
- 労災発生時の対応:救護→病院受診(私費負担させない)→労働基準監督署への死傷病報告、という3ステップを徹底。私費で治療させ死傷病報告を提出しない「労災かくし」は犯罪です
社会保険・労働保険への加入
労災保険は入国直後の講習期間から適用され、保険料は全額会社負担です。実習配属後は、健康保険・厚生年金保険・雇用保険への加入が必須(講習期間中は国民健康保険・国民年金への加入が実習生本人により必要)。40歳以上の実習生は、日本人と同様に介護保険の被保険者となり、保険料徴収の対象となる点も見落とされがちなポイントです。

禁止事項(人権保護)
以下は法律で厳格に禁止されており、違反すると認定取消しや刑事罰の対象になります。
- パスポートや在留カード、銀行通帳の保管(取り上げ)
- 外出制限や携帯電話の没収など、私生活の自由を不当に制限する行為
- 実習の強制、保証金の徴収、違約金契約
メンタルヘルスケア
ホームシックや文化の違いによるストレスは、表情・態度の変化、声が小さくなる、勤怠の乱れ、業務上のミスの増加といったサインとして表れます。叱責を避け、目線を合わせてゆっくり話すこと、定期面談やJITCO・OTITの母国語相談窓口の周知など、日常的な声がけと相談体制の構築が実務上重要です。「分かりました」という返事が必ずしも理解を意味しないことにも留意して、根気強く指導する姿勢が求められます。

帳簿の備え付けと保存義務
以下の書類は事業所に備え付け、実習終了後も1年間保存する義務があります。OTITの実地検査や労働基準監督署の立入検査の際に、直ちに提示できるよう日頃から整理しておくことがコンプライアンスの最後の要です。
- 技能実習生の名簿・履歴書
- 雇用契約書・雇用条件書
- 技能実習日誌(毎日、業務内容と指導内容を具体的に記録)
- 認定計画の履行状況管理簿(月1回記録)
- 賃金台帳・タイムカード
また、実習実施者は技能実習を開始したときに遅滞なく「実習実施者届出書」をOTITへ提出し、新たに実習生を雇い入れた際はハローワークへ「外国人雇用状況の届出」を行う義務があります。毎年4月1日から5月31日までには、前年度分の「実施状況報告書」をOTITへ提出します。

計画変更の手続き:「軽微変更届」と「変更認定申請」の違い
実習中に計画内容を変更する必要が生じた場合、変更の重要度に応じて手続きが異なります。この2つを混同すると、認定取消しにつながるリスクがあるため注意が必要です。
事前に「変更認定」の申請が必要な事柄(重要な変更)
計画の内容を大きく変える場合は、変更を行う前にOTITから認定を受ける必要があります。
- 実習期間の延長
- 職種・作業の追加
- 実習実施者の変更(転籍。3号への移行時等)
- 監理団体の変更
変更認定の申請には、書類提出に加えて1件につき3,900円の手数料が必要です。
事後に「軽微変更」の届出が必要な事柄(通常の変更)
変更が発生した日から1か月以内に、OTITの地方事務所または支所の認定課へ「技能実習計画軽微変更届出書」を提出します。軽微変更の届出自体に手数料はかかりません。
- 実習場所の変更(事業所の名称・所在地)
- 担当者の変更(技能実習責任者・指導員・生活指導員の交代)
- 宿泊施設の変更(実習生の希望による変更も含む)
- 法人の名称・住所の変更
- 従事すべき必須・関連・周辺業務の各作業内容の細かな変更
届出を受理した後、機構が認定要件に適合しないと確認した場合は是正指導が行われ、実習実施者はその指導に従う義務があります。どちらの手続きも怠ると、実習認定の取消し事由となる可能性がある点は、経営層にも共有しておきたいポイントです。
役員変更も届出事項——見落としがちな手続き
法人の名称・所在地の変更は軽微変更届の対象として意識されやすい一方、役員(取締役)の変更が届出事項であることは見落とされがちです。
技能実習制度における「役員」とは、取締役のほか、相談役、顧問、または法人に対し実質的に同等以上の支配力を有すると認められる者を含みます。役員の欠格事由(刑罰や不正行為など)は実習認定の基準に関わる重要事項であるため、以下の手続きが求められます。
- 実習実施者:法人の名称・所在地の変更と同様、事由発生から1か月以内にOTITの地方事務所へ「軽微変更届」を提出
- 監理団体:役員の氏名・住所に変更があった場合、変更の日から1か月以内に「変更届出書」をOTITの本部事務所へ提出。監理団体が事業協同組合である場合は、所管行政庁へ2週間以内の「役員変更届」も別途必要
- 代表理事の変更:法務局での登記申請も必要
経理・総務部門が役員変更登記の手続きを進める際、技能実習の届出が漏れてしまうケースは実務上少なくありません。登記手続きと技能実習の届出を、社内でセットのチェック項目として運用しておくことをお勧めします。

認定取消しに至った重大な法令違反事例5選
OTITや厚生労働省が報告している、認定取消しや行政処分に至った主な違反事例を5つ紹介します。いずれも「うちは大丈夫」と思っていた企業が陥りやすい落とし穴です。
- 入国後講習の不適正な実施と虚偽報告:講習を適切に実施せず、実地検査で「適切に実施した」とする虚偽の記録を提出
- 送出機関との不適切な契約:実習生が失踪・契約不履行した場合に備えた違約金契約の締結
- 認定計画と異なる作業への従事:認定を受けた職種・作業とは異なる業務への従事、講習期間中の業務従事
- 賃金の不払と帳簿の偽装:最低賃金割れ、割増賃金の未払い、実地検査を逃れるための賃金台帳・タイムカードの偽造
- 人権侵害行為:暴行・脅迫、外出禁止や携帯電話の没収、パスポート・在留カードの取り上げ
これらの違反が認められると、監理団体の許可や実習実施者の実習認定が取り消されます。取り消されると、その後5年間は新たな実習生の受け入れができなくなるうえ、その事実が公表されます。人権侵害行為については、刑事罰(懲役や罰金)の対象にもなり得る、一発退場のリスクがある違反です。

技能実習2号修了後、特定技能への移行
技能実習1号(1年)と2号(2年)を合わせた計3年間の実習を良好に修了すれば、特定技能1号へ移行できます。このとき、移行に必要な技能試験や日本語能力試験が免除されるという大きなメリットがあります。
3年間の実習を終えた後の選択肢は2つです。
- そのまま「特定技能1号」へ移行して就労を継続する
- さらに高い技能を目指し、「技能実習3号」としてあと2年間実習を継続する
必ずしも5年間(3号終了まで)実習を続ける必要はなく、3年終了のタイミングで特定技能へ切り替えることも可能です。移行にあたっては、地方出入国在留管理局へ「特定技能1号」への在留資格変更許可申請を行います。
なお、特定技能へ移行した後は、受入企業に10項目の支援計画の実施義務や定期届出義務など、技能実習とは異なる重い義務が課されます。特定技能制度そのものの詳細(4つの基準、支援計画、分野別の上乗せ要件等)は、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。
経営層・実務担当者へのチェックリスト
経営層の方へ
- □ 認定取消し=5年間の新規受入れ不可という、コンプライアンス違反時のリスクを理解した
- □ 賃金・労働時間管理、社会保険加入について、日本人従業員と同等以上の運用ができているか確認した
- □ 役員変更が発生した際、登記手続きと技能実習の届出がセットで運用される体制になっているか確認した
実務担当者の方へ
- □ 入国後講習期間中は、いかなる業務にも従事させていないことを確認する体制がある
- □ 賃金台帳・タイムカードを客観的な記録として適正に管理している
- □ 軽微変更届(1か月以内)と変更認定申請(事前・手数料あり)の違いを把握している
- □ 役員変更が発生した際の届出(実習実施者・監理団体それぞれ)の期限(1か月以内/2週間以内)を把握している
- □ 名簿・履歴書・雇用契約書・技能実習日誌・賃金台帳を、実習終了後1年間保存する体制を整えている
- □ 技能実習2号修了後の特定技能移行を見据え、試験免除の要件と申請先を確認している
まとめ
実務編では、実習生受入れ後の法的義務から変更手続き、法令違反事例、特定技能への移行までを整理しました。ポイントは3つです。
① 労働条件・安全衛生・社会保険は、日本人従業員と同等以上の管理が大前提。
② 「軽微変更届」(事後・1か月以内)と「変更認定申請」(事前・手数料あり)を混同すると、認定取消しリスクにつながる。役員変更の届出漏れにも要注意。
③ 技能実習2号を良好に修了すれば、試験免除で特定技能へ移行できる。移行後は支援計画・定期届出という別の重い義務が始まる。
技能実習生の受入れは、「制度の目的を理解した上で、地道な手続きを一つひとつ積み重ねる」ことがすべてです。実務担当者はもちろん、経営層もこの理念とリスクを共有しておくことが、長く安定した受入れ体制につながります。
是非参考にして下さい!
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- 「経理担当が知っておくべき『役員変更登記と議事録作成』の基本」 役員変更が発生した際は、登記手続きと技能実習の届出をセットで確認してください。
※ 本記事は2026年時点の情報を基に作成しています。制度の詳細・最新情報は、外国人技能実習機構(OTIT)および出入国在留管理庁の公式サイトでご確認ください。



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