みなさんこんにちは! バンスです! 日頃から仕事で経理、人事や介護事業に携わっています。日頃の業務の中で疑問や問題に直面した時に深堀した内容についてみなさんに共有できればと思い発信しています。是非参考にして下さい!
「親の介護が始まりそうなんですが、会社を休んで自分で介護しないといけないんですよね……?」
「介護休業と介護休暇って、何が違うんですか?」
「総務から『2025年4月に法律が変わった』と言われたけど、うちの会社は何をすればいいんだろう……」
55〜59歳の労働者の10人に1人以上が、すでに介護に直面しているというデータがあります。誰にとっても他人事ではないテーマです。
にもかかわらず、「介護休業=自分で介護するための休み」という誤解が根強く残っていて、これが介護離職を招く一因になっています。さらに2025年(令和7年)4月からは、企業側にも新たな義務が課されました。
今回は、介護休業・介護休暇・介護休業給付金の基本から、2025年4月改正のポイント、申請〜入金までの実務フローまでを一本にまとめます。「制度を利用したい従業員」と「対応する人事担当者」の両方に向けた内容です。
介護休業の考え方:「介護に専念する休み」ではない
まず、一番の誤解から解いておきます。
介護休業は、「労働者が自らつきっきりで介護をするための休み」ではありません。
真の目的は、**「仕事と介護を両立できる体制を整えるための準備期間」**です。この期間中に、
- ケアマネジャーとの面談
- 介護サービスの契約
- 家族間の役割分担の決定
を行い、「一人で抱え込まない体制」を作ることが本来の使い方です。休業=介護そのものではなく、休業=体制構築の時間、と捉え直すと、その後の制度理解がぐっとスムーズになります。

対象となる家族・労働者の範囲
対象家族の範囲
介護休業の対象となる家族は、次のとおり幅広く定められています。
| 対象家族 | 備考 |
|---|---|
| 配偶者 | 事実婚を含む |
| 父母・配偶者の父母 | |
| 子 | 法律上の親子関係がある子(養子を含む)に限定 |
| 祖父母・兄弟姉妹・孫 |
同居の有無は問われません。また、障害児・者や医療的ケア児・者を介護・支援する場合も対象に含まれますが、乳幼児の通常の成育過程で必要な便宜の供与は対象外です。

対象労働者の要件
原則として、日々雇用を除く男女の労働者が対象です。ただし、有期契約労働者(パート・アルバイト等)には追加要件があります。
- 休業開始予定日から起算して93日を経過する日から6か月を経過する日までに、契約が満了し更新されないことが明らかでないこと
さらに、労使協定を締結している会社では、以下に該当する人が対象外となる可能性があります。自社の就業規則の確認が必須です。
- 入社1年未満の労働者
- 申出から93日以内に雇用関係が終了することが明らかな者
- 1週間の所定労働日数が2日以下の者

「要介護状態」の判断基準(2025年4月適用の新基準)
介護休業の対象となるのは、負傷・疾病・身体上または精神上の障害により、**「2週間以上の期間」にわたり「常時介護を必要とする状態」**にある家族です。
令和7年4月1日適用の解釈通達では、この「常時介護を必要とする状態」の判断基準がより具体的に整理されました。次の(1)または(2)のいずれかに該当する場合が対象です。
- (1) 下記12項目のうち、状態が「2」に該当するものが2つ以上、または「3」に該当するものが1つ以上あり、かつその状態が継続すると認められること
- (2) 介護保険制度の要介護状態区分において「要介護2以上」であること
| 項目 | 1(自分でできる) | 2(一部介助・見守り等) | 3(できない・全面的介助) |
|---|---|---|---|
| ①座位保持 | 自分で可 | 支えてもらえればできる | できない |
| ②歩行(5m程度) | つかまらないでできる | 何かにつかまればできる | できない |
| ③移乗 | 自分で可 | 一部介助・見守り等が必要 | 全面的介助が必要 |
| ④水分・食事摂取 | 自分で可 | 一部介助・見守り等が必要 | 全面的介助が必要 |
| ⑤排泄 | 自分で可 | 一部介助・見守り等が必要 | 全面的介助が必要 |
| ⑥衣類の着脱 | 自分で可 | 一部介助・見守り等が必要 | 全面的介助が必要 |
| ⑦意思の伝達 | できる | ときどきできない | できない |
| ⑧外出すると戻れない・危険回避不可 | ない | ときどきある | ほとんど毎回ある |
| ⑨物を壊す・衣類を破く | ない | ときどきある | ほとんど毎日ある |
| ⑩認知・行動上の課題 | ない | ときどきある | ほとんど毎日ある |
| ⑪医薬品・医療機器の使用管理 | 自分で可 | 一部介助・見守り等が必要 | 全面的介助が必要 |
| ⑫日常の意思決定 | できる | 重要な意思決定はできない | ほとんどできない |
ポイント: 介護保険の要介護認定(要介護1〜5)を必ずしも受けている必要はありません。単なる家事の手伝いではなく、日常生活の各場面で客観的に判断できる介助の必要性がポイントです。
判断に迷うケースが出てきたら、この表を人事担当者と従業員で一緒に確認しながら整理すると、認識のズレを防げます。
介護休業の利用ルール(日数・分割・申出期限)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 取得可能日数 | 対象家族1人につき通算93日まで |
| 分割取得 | 最大3回まで分割可能 |
| 申出期限 | 原則、休業開始予定日の2週間前までに書面等で事業主へ申出 |
| 期間の変更 | 終了予定日の2週間前までの申出で、1回に限り終了日の繰下げが可能 |
| 会社の対応 | 申出を受けたら、開始・終了予定日等を速やかに書面等で通知 |
93日を「まとめて1回」で使い切る必要はありません。状況の変化(施設入所、症状の変化など)に合わせて3回まで分けて取得できる設計なので、「体制整備の初動」「本格的な在宅介護への切り替え」「看取り期」など、局面ごとに使い分けることも可能です。

介護休業給付金——いくら、いつ、どうやってもらえるか
介護休業中の経済的な不安を和らげるのが、雇用保険から支給される介護休業給付金です。
受給額・支給の仕組み
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 支給額 | 休業開始時賃金日額の67%相当額 |
| 支給主体 | 雇用保険から、ハローワークを通じて労働者の口座へ直接振込 |
| 支給単位 | 介護休業を分割取得した場合、給付金もその分割単位ごとに申請可能 |
| 対象外 | 1日・時間単位で取得する「介護休暇」、短時間勤務期間は対象外 |
受給要件(実務詳細)
- 被保険者期間: 休業開始前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12か月以上あること(原則)
- 就業制限: 休業期間中の就業日数が10日以下(または80時間以下)であること
- 要介護状態の基準: 前章の判断基準を満たしていること
申請の流れ
- 会社への休業申出(開始2週間前まで)
- 会社からの通知(開始・終了予定日を速やかに書面等で)
- 休業の実施
- 支給申請書類の提出(原則、事業主を経由してハローワークへ)
- 審査・入金(ハローワークでの審査後、指定口座へ振込)
申請は原則として会社を経由して行うため、賃金証明などの書類は会社側の協力が必要になります。まずは社内の人事・総務担当者へ相談するのが確実です。

介護休業と介護休暇はどう違う?
「休業」と「休暇」、似た言葉ですが中身は別物です。まとめて整理しておきましょう。
| 介護休業 | 介護休暇 | |
|---|---|---|
| 目的 | 体制整備のためのまとまった休み | 通院付き添いなど日々のスポット対応 |
| 取得可能日数 | 対象家族1人につき通算93日 | 1年度に5日(対象家族2人以上なら10日) |
| 分割取得 | 最大3回まで | 1日または時間単位で取得可能 |
| 申出期限 | 原則2週間前まで | 原則、当日申出も可 |
| 経済的支援 | 介護休業給付金あり(67%) | 給付金の対象外(無給・有給は会社規定による) |
「まとまった時間が必要か」「単発の対応で足りるか」で使い分けるのが基本です。両方の制度を組み合わせて使うケースも珍しくありません。
その他の両立支援制度(日々の介護に対応)
介護休業・介護休暇以外にも、働きながら介護を続けるための制度が用意されています。
| 制度 | 内容 |
|---|---|
| 短時間勤務等の措置 | 短時間勤務・フレックス・時差出勤などのいずれかを、利用開始から3年以上の間で2回以上利用できるよう会社に整備義務 |
| 所定外労働の制限(残業免除) | 介護終了まで利用可能 |
| 時間外労働・深夜業の制限 | 1か月24時間・1年150時間以内の残業制限、深夜勤務の制限 |

【2025年4月改正】企業に課される新たな3つの義務
2025年(令和7年)4月1日から施行された改正育児・介護休業法により、企業には介護離職を防止するための新たな義務が課されています。
① 早期の情報提供(40歳時等)
従業員が介護に直面する前の段階、具体的には介護保険料の徴収が始まる40歳などの節目に、両立支援制度に関する情報を提供することが義務付けられました。慌てず事前に準備を始められるようにする狙いです。
40歳から給与天引きが始まる介護保険料の仕組みについては、「給与明細の天引き、ちゃんと説明できますか?」——社会保険料の計算と手続き で詳しく整理しています。あわせてご確認ください。
② 個別の周知・意向確認の義務化
従業員から家族の介護について相談があった際、会社は以下を個別に行う義務があります。
- 制度の周知: 介護休業や給付金など、利用可能な制度を具体的に説明する
- 利用意向の確認: 制度を利用する意向があるかどうかを確認する
「制度を知らないまま離職してしまう」ケースを防ぐための重要なステップです。
③ 雇用環境の整備の義務化
従業員が気兼ねなく制度を利用できるよう、次のような職場環境の整備が義務付けられます。
- 管理職・一般従業員向けの研修実施
- 相談窓口の設置
- 制度利用を促進する方針の周知

申請から入金までの実務フロー
登場人物ごとの動きを時系列で整理すると、以下のようになります。
【従業員】相談 → 休業申出 → 休業実施
【会社・総務】個別周知 → 書面通知 → 支給申請書類の提出
【ハローワーク】審査 → 入金
会社側の実務としては、「相談を受けたら個別周知」「申出から2週間の期限管理」「休業終了後の速やかな申請」がポイントになります。
総務担当者・利用検討者へのチェックリスト
総務担当者の方へ
- □ 40歳到達者への情報提供の仕組み(周知リーフレット等)を用意した
- □ 介護の相談を受けた際の個別周知・意向確認のフローを整備した
- □ 管理職向けの研修、相談窓口の設置など雇用環境の整備を行った
- □ 「常時介護を必要とする状態」の判断基準(2025年4月適用)を人事担当者間で共有した
- □ 介護支援プランのひな形、面談シートを準備した
- □ 中小企業の場合、「両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)」の活用を検討した
介護に直面する可能性がある方へ
- □ 40歳を過ぎたら、会社の制度や介護保険について自分から情報を集め始める
- □ 介護休業は「自分で介護する期間」ではなく「体制を整える期間」と意識する
- □ 経済的な不安は給付金(67%)でカバーできることを知っておく
- □ 「一人で抱え込まず、まずは会社や地域包括支援センターに相談する」
まとめ
介護休業・介護休暇・介護休業給付金の制度を一言で整理すると、「休んで介護する」ための制度ではなく「働き続けながら介護と両立する体制を作る」ための制度です。
特に押さえておきたいポイントは3つです。
① 介護休業は「体制整備の準備期間」。93日を3回まで分割でき、局面ごとに使い分けられる。
② 2025年4月改正で、企業には「早期の情報提供」「個別の周知・意向確認」「雇用環境の整備」の3つの義務が加わった。
③ 給付金は休業開始時賃金の67%。申請は原則、会社を経由してハローワークへ。
制度を「知っている」だけでは介護離職は防げません。従業員が安心して相談できる窓口があり、会社側が早めに動ける体制があってはじめて、「両立」が現実のものになります。
是非参考にして下さい!

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※ 本記事は2025〜2026年時点の情報を基に作成しています。制度の詳細・最新情報は、厚生労働省の特設サイトおよびお近くのハローワーク、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)でご確認ください。



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