「育休中って、お金はどうなるの?」——2025年施行 育児休業制度と給付金申請の完全ガイド

人事労務

みなさんこんにちは! バンスです! 日頃から仕事で経理、人事や介護事業に携わっています。日頃の業務の中で疑問や問題に直面した時に深堀した内容についてみなさんに共有できればと思い発信しています。是非参考にして下さい!


「部下から妊娠の報告を受けたんですが、2025年から給付金が『手取り10割』になったって本当ですか?手続き、何から始めればいいですか……」

「産後パパ育休って普通の育休と何が違うんだっけ?申請期限はいつまで?」

「育休延長したいって言われたけど、令和7年から手続きが変わったって聞いて……何が変わったんだろう」

2025年(令和7年)は育児休業制度の大改正イヤーでした。4月と10月の二段階で法改正が順次施行され、給付金の大幅拡充から企業に課される新義務まで、人事担当者が把握すべきポイントが一気に増えました。

今回は、産休・育休の基本から新制度の給付金、申請〜入金スケジュール、人事担当者のための実務チェックリストまでを一本にまとめます。「なんとなく知っているけれど、実務でどう動けばいいか分からない」という方に、特に読んでいただきたい内容です。


産前産後休業(産休)の基本と権利

産前産後休業(産休)は、育児休業・給付金申請のスタート地点となる制度です。正確に理解しておかないと、その後の手続き全体がずれてしまいます。

区分期間取得方法
産前休業出産予定日の6週間前(多胎妊娠は14週間前)から本人の請求により取得
産後休業出産翌日から8週間産後6週間は強制休業(本人の意思に関わらず就業不可)
産後6週間経過後~産後8週まで医師が認めた場合のみ就業可能

社会保険料の免除

産前産後休業期間中は、健康保険・厚生年金保険料が本人分・会社分ともに全額免除されます。ただし、免除は自動ではありません。事業主(会社)が年金事務所へ申し出を行う必要があります。申請を忘れると保険料が引き続き徴収されてしまうため、産休の開始が決まったら速やかに手続きを進めてください。

社会保険料の免除が産休・育休に限られる点は、直近の記事「社会保険料の計算と手続き」でも詳しく解説しています。あわせてご参照ください。→ 関連記事リンク


育児休業の種類と柔軟な取得パターン

「育休」とひとくちに言っても、現行制度には複数の種類があります。特にパパが取得できる制度が整備されたことが近年の大きな変化です。

① 育児休業(原則、子が1歳まで)

  • 子ども1人につき、原則2回に分割して取得可能
  • 両親ともに育休を取得する「パパ・ママ育休プラス」を利用すれば、1歳2か月まで延長可能
  • 保育所不承諾等の事情がある場合は最大2歳まで延長可能
  • ⚠️ 令和7年(2025年)4月から延長申請手続きが厳格化されました。手続き期限・書類の確認を忘れずに

② 産後パパ育休(出生時育児休業)

通常の育休とは別に取得できる、パパ専用の制度です。

項目内容
取得可能期間子の出生後8週間以内に最大4週間
分割取得2回に分けて取得可能
休業中の就業労使協定があれば一部就業可能
申し出期限原則、開始の2週間前まで

取得パターンのイメージ

子の出生
│
├─【ママ】 産後休業(8週)→ 育休①→ 育休②(~1歳 or 1歳2か月)
│
└─【パパ】 産後パパ育休(出生後8週以内・最大4週)→ 育休①→ 育休②(~1歳)

両親がともに育休を活用することで、最大1歳2か月まで切れ目なくカバーできる設計になっています。


2025年4月施行:「子の看護等休暇」と「残業免除」の拡充

2025年4月から施行された改正の柱は、就学後の子を持つ従業員へのサポート強化です。

子の看護等休暇の進化

項目改正前(〜2025年3月)改正後(2025年4月〜)
対象年齢小学校就学前まで小学校第3学年修了まで
取得できる理由病気・けが・予防接種等上記+学級閉鎖、入園(入学)式・卒園式

所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大

残業免除を請求できる対象が「3歳未満の子」から「小学校就学前の子」まで拡大されました。

人事担当者へ: 就業規則・36協定の対象範囲の見直しが必要になる可能性があります。自社の規程を確認してください。


2025年10月施行:企業に課される「柔軟な働き方」の選定義務

2025年10月からは、企業側に新たな義務が加わります。

柔軟な働き方の選定義務化

3歳から小学校就学前の子を育てる労働者のために、企業は以下の5つの選択肢から2つ以上を導入し、労働者が1つ選べるようにしなければなりません。

選択肢内容
時差出勤始業・終業時刻の変更
テレワーク月10日以上
短時間勤務育児のための短時間勤務制度
養育両立支援休暇年10日以上の付与
保育施設の設置・運営等事業所内保育施設など

個別の意向確認義務の追加

子が3歳になる前の適切な時期にも、両立支援制度の利用意向を個別に確認することが義務付けられます。これまでは「妊娠・出産の申し出があったとき」のみが義務の対象でしたが、義務発生のタイミングが追加された形です。

今すぐ確認: 自社が5つの選択肢のうち2つ以上を導入済みかどうか、10月の施行前に確認してください。制度整備が間に合っていない場合は、就業規則の改定が必要になります。


給付金の全体像——「手取り10割」の仕組みを解説

2025年4月から、給付金制度が大幅に強化されました。「手取り10割」という言葉が一人歩きしがちですが、どういう仕組みなのかをきちんと整理します。

① 育児休業給付金(従来制度)

期間給付率(対休業前賃金)
休業開始から180日67%
181日以降50%

雇用保険から支給されます。申請は会社がハローワークに対して行います。

② 出生後休業支援給付金(2025年4月〜 新設)

「手取り10割相当」の実現を目的とした新制度です。

受給の主な要件(2025年4月1日以降開始分)

  • 両親ともに14日以上の育休(産後パパ育休含む)を取得すること(原則)
  • ✅ 子の出生後8週間以内(産後休業取得者は16週間以内)に開始した育休であること
  • ✅ 支給期間は最大28日間

なぜ「手取り10割」になるのか?

就業時の額面(100%)
= 手取り(約80%)+ 社会保険料等(約20%)

育休中
= 給付金(80%)+ 社会保険料免除(約20%相当)
≒ 実質手取り10割

従来の給付率67%から80%に引き上げられ、育休中の社会保険料免除(本人・会社分ともに)と合わせることで、休業前の手取りとほぼ同水準になる設計です。

③ 育児時短就業給付金(2025年4月〜 新設)

育休明けの「時短復職」をサポートする新給付金です。

項目内容
対象2歳未満の子を養育するために時短勤務を行う雇用保険被保険者
給付内容時短勤務中の賃金の10%
目的時短による手取り収入の減少を補い、早期復職・継続就業を支援

④ 介護休業給付金(参考)

育児休業と同様、介護を理由に休業した場合も雇用保険から給付金が支給されます(休業開始時賃金の67%、通算93日・3回分割まで)。


失敗しない「申請〜入金」スケジュール

「制度は分かったけれど、実際の申請はいつ、誰が、何をするの?」という疑問に答えます。

STEP 1:従業員 → 会社への申し出

休業の種類申し出期限
育児休業(原則)開始の1か月前まで
育児休業(1歳以降の延長)開始の2週間前まで
産後パパ育休開始の2週間前まで
介護休業開始の2週間前まで

STEP 2:会社 → ハローワークへの申請

  • 休業実績が確定した後(通常2か月ごとなど)に事業主が申請
  • 出生後休業支援給付金も同様の流れで申請

STEP 3:入金(ハローワーク → 従業員口座)

  • 支給決定後、数日〜1週間程度で指定口座に振り込まれる
  • ⚠️ 初回入金までは、休業開始から3〜4か月かかるケースが多い

育休直後の生活費は事前に手元資金を準備しておくことを強くお勧めします。会社側も、従業員への事前案内の際にこの点をセットで伝えてください。


人事担当者のための実務チェックリスト

法改正対応の漏れを防ぐために、担当者目線でまとめたチェックリストです。

2025年4月対応

  • □ 子の看護等休暇の対象年齢・取得理由を就業規則に反映した
  • □ 残業免除の対象範囲を「小学校就学前」に変更した
  • □ 育休延長申請の手続き変更(令和7年4月厳格化)を従業員に周知した
  • □ 妊娠・出産の申し出があった際、出生後休業支援給付金を含め個別周知・意向確認を実施している
  • □ 産休・育休開始時、年金事務所への社会保険料免除申請を速やかに行っている

2025年10月対応

  • □ 3歳〜就学前の子を育てる従業員向けに、5つの選択肢から2つ以上の制度を導入した
  • □ 子が3歳になる前の意向確認フローを社内で整備した

給付金・申請管理

  • □ 育児休業給付金の申請スケジュール(2か月ごと等)を管理している
  • □ 出生後休業支援給付金の要件(両親14日以上等)を従業員に案内している
  • □ クラウドシステム(SmartHR・ジョブカン労務HR等)で電子申請・期日管理を一元化している

ハラスメント防止

  • □ 育休取得を理由とした解雇・降格・減給(いわゆる「育休切り」)は違法であることを管理職に周知した
  • □ 不利益取扱いに関する相談窓口を整備している

まとめ

2025年の育児休業制度改正を一言で整理すると、「休む」だけでなく「働きながら育てる」ための選択肢と経済的支援が二段構えで強化された改正です。

実務で特に押さえておくべきポイントは3つです。

① 出生後休業支援給付金(4月〜):両親ともに14日以上の育休取得が「手取り10割」の条件。個別周知が義務。

② 柔軟な働き方の選定義務(10月〜):3歳〜就学前の子を育てる従業員向けに、5択から2つ以上の制度を導入しなければならない。

③ 初回入金まで3〜4か月:給付金の入金タイムラグを従業員に事前に案内することが、トラブル防止になる。

制度を「知る」だけでなく「社内に浸透させる」ところまでが人事担当者の仕事です。従業員が安心して育休を取得し、会社に戻ってきてくれる環境づくりが、結果として優秀な人材の定着につながります。

是非参考にして下さい!


※ 本記事は2025〜2026年時点の情報を基に作成しています。制度の詳細・最新情報は、厚生労働省の特設サイトおよびハローワークでご確認ください。

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